あたしも上野さんも酔いが手伝って
手をつないで体を寄せ合った
もうどうなってもいいって心境だった
結局は、その日タクシーの中で
手をつないだだけ
何もなかった
でも何かの線を
越えてしまったような気分だった
つないだ手から
いつも情けない上司の「男」の部分を感じた
ゴツゴツしているその手が
あたしの指と絡み合っていて、力強くて
息がかかるぐらい近くに顔があった
顔を上げれば、キスとかしたのかな
あたしの家付近で
タクシーをおろしてもらって
彼は家に帰って行った
あたしが降りると
上野さんは「また、明日」と
いつもの顔で手を振っていた
帰ってからも、落ち着かなかった
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